若いから健康診断は必要ない?
フィラリア検査のシーズンになると、血を採ってフィラリアの検査をするなら、
血液検査も一緒にといったシュチエーションもよくあるのではないかと思います。
飼い主さんをみていると、若いから血液検査は必要ないですと言われる方も多いように思います。
本当に必要ないのか?ということを獣医さん目線で取り上げさしていただきたいと思います。

 

 

若くても確認しておいてほしいこと~ワンちゃん編~


まずは、フィラリアシーズンで病院に来院される機会が増えるワンちゃんのお話から始めたいと思います。
まず、ワンちゃんで確認してほしいことのひとつが、避妊手術や去勢手術を受けたときのALPの数値です。
この数値は本来は胆管系の値なのですが、成長期のワンちゃんでは、骨からも同じALPが
でているため正常値をオーバーしていることも非常に多いです。
それ自体は異常ではないのですが、若くして胆泥症であったり空胞性肝障害が
あったりと病的な意味でALPが上がってくる子も多いので、大人になって
正常値まで下がっているかを確認しておいていただきたいです。
胆嚢の中がドロドロになっていたり、空胞性肝障害といって、脂肪分、糖質などを
過剰摂取することで肝細胞の変性をおこしている若いワンちゃんも多いので注意してもらいたいなと思います。

 

 

若くても確認しておいてほしいこと~ネコちゃん編~


ネコちゃんの場合は、腎臓の数値をチェックしておいてほしいです。
腎臓は沈黙の臓器といわれるぐらい、異常があってもなかなか正常値をこえてきません。
そこで獣医さんは、正常値であってもCreが0.3~0.4mg/dL以上動いている場合は、
要注意として考えていることが多いです。
また、Creは筋肉量にも左右されるので、大人になった状態での
基準値をチェックさせておいてほしいなと考えています。
ちなみに、中には多発性腎嚢胞など若くして腎臓形態に異常がでる遺伝疾患を
発症していたり、腎臓が小さかったりといったことがわかることもあります。

 

 

検査データを保管しておいてください


検査データは必ず保管していただいて、獣医さんにみせていただけると嬉しいです。
使っている機械によって正常値にばらつきはあるものの、以前から高かったのか、
正常値だったのかがわかるだけでもとても助かります。
超音波検査など他の検査をうけていらっしゃって、引っ越しなどで主治医病院が
変わられるときは、是非データや経過がわかるものも一緒にもらっておいてもらえると本当に有益だと思います。
ちなみに、獣医さんとしては、人間と違って腫瘍マーカーなどが実用化していないので、
血液検査だけでは全ての状態を把握することが困難だと感じています。
それは、若いワンちゃんネコちゃんも同じで、若いと腫瘍などの可能性は低いものの先天疾患を
拾い損ねることもあるので、できればしっかり血液検査と画像検査も受けていただければすごく助かります!

 

 

 

 

最後に
ワンちゃん、ネコちゃんたちはヒトより我慢強いことも多く言葉も話せないので、
ごはんを食べていて元気そうなことが健康とは限らないことが多々あります。
できれば、定期的な検査をしてもらえるといいなと思います!

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

とくに、お願いしたいなと思うのは

お引越しされるときなのですが、お引越しのときには

ぜひ、健康なときの画像データを持っていってほしいということです。

特に若いワンちゃんとネコちゃんの場合、

健診は異常を早くみつけるという意味もあるのですが、健康なことを確認し

健康なときの状態を残しておくというのが、一番の意義だと思います。