梅雨入りして、いよいよ初夏にさしかかってきましたが、
みなさまフィラリアの予防は忘れずにされていらっしゃるでしょうか?
最近、しなくてもかからないしいらないんじゃないかと
言われることが増えてきたので、今回はそのお話をしたいと思います。

 

 

 

フィラリアとは?

 

蚊が媒介する寄生虫です。
幼虫には5段階の成長段階があります。
蚊が血を吸うときに入ってくるのは3段階目の幼虫で、
その幼虫が成長して4段階目、5段階目を経て、
成虫になり肺動脈や心臓に寄生します。
その後、成虫が1段階目の幼虫を生んで、それをまた蚊が
吸い蚊の体内で3段階目まで成長します。
成虫になり心臓の方にすみつかれてしまうと駆除するのが大変で
手術するか駆除薬を様子をみながら2年程度投与することが多いです。

 

 

 

毎月飲ませるお薬は何をしているの?

 

少し前から注射で12カ月間予防できるものも使われていますが、
現在でもメジャーなのは毎月1度お薬を飲んでもらう予防だと思います。
意外と知らない方が多いと思うのですが、この薬は実は4段階目の幼虫を
主に退治するために飲ませています。
この4段階目に成長するのに約1カ月かかりますので、
実は蚊が出だしたときに飲ましてもダメなのです。
蚊が出だして1カ月後から予防を開始して、蚊が出なくなってから
1カ月後ぐらいに最後のお薬を飲んでもらう必要があるのです。
予防の性質上、毎年コツコツ予防してもらっていても、
たまたま予防を忘れたときに幼虫が入ってきてしまうと
罹ってしまうので注意が必要です。

 

 

 

予防しなくてもかからないんじゃないの?

 

当院が都市部にあるせいか、最近よく言われることが多いです。
確かに、予防率が上がり都市部ではフィラリア症は過去のものと
なりつつある感じがあります。
ただ、どの地域でも過去のものかと言われるとそんなことはありません。
そして、その地域と海で隔てられていたり、大きな壁があって
行き来できないという状況ではないことを考えると予防の必要性が
わかっていただけるのではないかと思います。
たまたま、引っ越ししてきたワンちゃんがフィラリア症を
もっていないとは限らないですし、予防率が低下するとおそらくまた、
都市部でもフィラリア症が発生することになるでしょう。

 

 

 

コラム6

 

 

まとめ

 

ワンちゃんは予防の項目が多いので、全てするのはとても大変だと思います。
ただ、予防には予防の意味があるので、正しい知識を身につけていただき、
予防をすべきかまよわれたときは必ず主治医さんと
相談していただきたいなと思います。